「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の映画第1作目は2021年6月11日に公開されましたが、映画版を4分割したテレビ版が2023年1~2月に放映されました。感想としては面白いと同様に「ひどい」という意見が多いようですがなぜでしょうか?
閃光のハサウェイとは?
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」とは元々は、
で描かれた作品です。
作品の時代設定としては、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」が描かれた宇宙世紀0093から12年経過した、
の地球が舞台となります。
主人公はハサウェイ・ノアで、あのガンダムシリーズを代表するブライト・ノア艦長と元ホワイトベース操舵手のミライ・ヤシマの間に生まれた長男です。
ハサウェイはガンダムシリーズにはちょいちょい登場していて、
「機動戦士Zガンダム」:ミライさんと一緒に登場する小さな男の子
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」:クェス・パラヤと色々あったり、ジェガンでアレしたり
など実は新しい人物ではありません。
そんなハサウェイが「逆襲のシャア」の時の事件(ジェガンの無断使用出撃で、アルパ・アジールを撃破)が原因で地球に住むことになります。
モビルスーツの無断使用は原則処罰対象ですが、ジオンのモビルスーツ撃破(映画版)という功績やブライト艦長のご子息ということもあり特別待遇を受けます。
本人は心の傷がある為(アルパ・アジールのパイロットは初恋のクェス・パラヤ)、植物監察官候補として戦場からは遠い場所へ身を移します。
しかし、裏では「反地球連邦組織 秘密結社マフティー」のリーダーとして、モビルスーツを使ったテロ活動を指揮しているというのが実情です。
ハサウェイにとっての憧れの存在は、アムロでも無く、ブライトでも無く、シャア・アズナブルだったのです。
元祖「仮面の人」でも有名ですよね。
閃光のハサウェイの何が「ひどい」のか?
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は正当な宇宙世紀ガンダムシリーズであり、映画も非常に良いできでした。
しかい、世間の声の中には「ひどい」というものも少なからずありました。
なぜでしょうか?
基本的に暗い
ガンダム作品はファーストから、ZやZZ(後半)、逆襲のシャアやそれ以外の作品も基本的には暗いです。
なので、「閃光のハサウェイ」だけが暗い世界観というわけでは無いのですが、「暗い」というイメージが強すぎます。
その理由をご紹介致します。
例えば、「機動戦士Zガンダム」もガンダム作品の中では暗い部類に入りますが、ここまでのイメージになりませんでした。
主人公も同じ「反地球連邦組織」(エゥーゴ)に所属していて、どちらかというと悪い側がメインでした。
しかし、今回の「マフティー」はエゥーゴのような大規模軍隊というよりは、
です。
比較してみますと・・・
エゥーゴ:地球連邦軍やティターンズ(連邦の精鋭部隊)の戦艦やモビルスーツと好戦、基地などを襲撃
マフティー:地球連邦軍のモビルスーツと好戦、地球連邦高官を暗殺、民間人を巻き込んだ攻撃
と言う風に、行動内容が明らかに違います。
いくらガンダム作品とは言え、テロ活動をしている主人公に感情移入するのは難しいのではないでしょうか?
時代が違う
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」が世に登場したのは1989年でした。
その当時でも、ダークな作風に古参のガンダムファンは色々と思うところがありましたが読んでいて面白い作品だと思いました。
時代は、「バブル景気」で世の中が浮かれていたので、こういったダークな世界観はドラマや映画でも非常に人気がありました。
富野由悠季さんもその時代背景を考慮して、戦闘の悲惨さやテロ活動の悲劇的一面を描かれたのだと思います。
そして、映像化されることは無いまま時が流れました・・・。
その時代から32年の月日が流れた2021年に映画化されました。
ただ、現代の若い世代にとって80年代のダーク感が馴染めないのが「ひどい」と言われている理由の一つではないでしょうか?
なぜなら、現代社会は「バブル」のようなイケイケでは無く、悲惨なニュースが飛び交うからです。
今の時代は映画やドラマ、アニメにはハッピー感を求める声が強くなっているので、そういった意味では時代が違うと言えるのではないでしょうか。
ギギ・アンダルシアの存在
ガンダムは大人も楽しめる作品ではあるものの、基本的には子供も見る作品である。
という事情から、ガンダムのヒロインというのは清楚で可憐とまでは言わないが、ある程度のことが求められます。
ベルトーチカの悲劇
「逆襲のシャア」が映画になる際、主人公のアムロ・レイの恋人であったベルトーチカ・イルマ(Zガンダム時代からの関係)が急遽降板(というよりいなかった扱い)され、チェーン・アギというパッと出のキャラがヒロインポジションになりました。
これはファンをないがしろにした行為で不評でしたが、ベルトーチカが妊娠中(子供がいた?)というのがヒロインとして相応しくないという理由でした。
ギギはOK?
小説版の「閃光のハサウェイ」を読んだ方はご存じだと思いますが、ギギはいわゆる大富豪老人であるカーディス・バウンテンウッデン伯爵(80歳)の愛人です。
バウンテンウッデン氏は地球圏の大手保険会社創業者で、愛人のギギに超高級アパート(香港)をポンとくれるような人です。
しかも、ギギの本来の年齢が15歳だったので、10代前半から愛人だったいうことになります。
倫理的にアウトなので、本来、映像化する際には、ベルトーチカと同じ境遇に置かれてもおかしくありませんでした。
しかし、80年代のアニメと現代のアニメでは社会の受け入れ方も違うので、ギギはヒロインとなりました。
但し、年齢は詐称・・・ではなく変更され、19歳ということで。
ただ、愛人という立場ながら、主人公と敵の間をフラフラする姿勢というのは、他の作品ならともかくガンダムではやってはいけないタブーです(ニナが嫌われたヒロインと同じ理由)。
天真爛漫と言えば聞こえはいいですが、ヒロインは主人公に一途で無いと感情移入しにくいですよね。
ギギ・アンダルシアのフィギュアの質
性格は受け入れにくいとはいえ、見た目はガンダムシリーズでも屈指の美人です(個人的な好みにもよりますが)。
そうなると、フィギュアを販売すれば売れると考えるのも納得です。
ところが、ギギ・アンダルシアのプライズフィギュアの質が・・・、かなりヒドイと不評なのです。
まあ、カワイイと言えばカワイイですけど、別人のように見えますよね?
まあ、昔から美少女もののフィギュアは、「えっ!?」というものが多いのでこれも宿命ではありますが。
バッドエンドは流行遅れ
80年代は特に多かったですが、映画やドラマ・アニメなどが「バッドエンド」で終わっても人気が出た時代がありました。
ただ、DVDや動画配信などで何度でも見れるとなると、
「バッドエンド」は2回は見たくない
という声も多く、なんやかんやでハッピーエンドが人気が出る傾向が強いです。
ガンダムシリーズでも、やっぱり最後は主人公が勝って生き延びて欲しいという気持ちの方が強いですよね?
しかし、「閃光のハサウェイ」のラストは・・・ですよね?
ここからはネタバレです!
ハサウェイの乗るクスシィガンダムは終始、レーン・エイムのペーネロペーを押しますが、電磁バリアの罠で撃墜されます。
そして、最後は銃殺刑でハサウェイが亡くなるというバッドエンドです・・・。
1990年に小説を読んでいた時ですら、う~んとなった内容ですが、これが映像化されるとなると・・・。
願望というか理想ですが、映画版は是非パラレルワールドで終わって欲しいですよね。
ケネスがハサウェイの身代わりを用意して、ハサウェイは名を変え顔を変えて逃亡するとか。
閃光のハサウェイのスゴイ点とは?
「閃光のハサウェイ」がヒドイと言われるのは、逆に言うとそれだけ注目されているからです。
映像化不可能を可能に!
「閃光のハサウェイ」は元々、富野由悠季御大がアニメ化しない前提で書かれた、隠れた名作でした。
なので、映像化を前提にしていないような状況やΞ(クスシー)ガンダムやペーネロペーの形状は商品化も無理な設定でした。
しかし、現在のCG技術でこの複雑な形状を映像化してくれました!
実際、50代ぐらいのファーストからリアルタイムでガンダム大好きな方々も、当時は映像化不可能と言われていた小説を
という意見が多いようですね。
作画や音楽が神ってる!
「閃光のハサウェイ」の映像クオリティは非常に高く、音楽も重い内容にピッタリで「神って」います。
監督の村瀬さんは、インタビューの中で
と作画へのこだわりを述べておられました。
また、「閃光のハサウェイ」の音楽を制作されたのは、澤野弘之さんで、「ガンダムUC」も担当された方です。
「ガンダムUC」の音楽も素晴らしかったですが、ガンダムを分かっている方の音楽はやはり一味違いますよね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、閃光のハサウェイが「ひどい」と言われる理由とは?あらすじネタバレ考察を紹介、をご紹介致しました。
まあ、30年以上前の作品を現代で映像化しているので、そういった事も考慮に頂ければ十分に楽しめるのではないのでしょうか?
先ずは、第2部「サン・オブ・ブライト」の公開を待つことにしましょう。