「機動戦士ガンダム 水星の魔女」でダリルバルデの意思拡張AIが悪者にされていますね(正確にはヴィムパパ)。グエルが操縦した方が強いと言われていますが、両方が上手くサポートし合っていれば或いはエアリアルともっと肉薄した戦いになったでしょう。
ガンダムは人類最高の想像の産物(フィクション)でありながら、現実の技術をシレっと上手く混ぜていますよね。スペースコロニーやラグランジュポイントとか全部、本当にあるものです(スペースコロニーは計画段階ですが・・・)。
そして、意思拡張AIも実は現実にあるものです。
そこで今回は、
意思拡張AIって何?
人工知能とは違うの?
今後、エアリアルの自我に勝てる?
を検証します。
意思拡張AIとは?
AIとは有名ですが、「Artificial Intelligence」(アーティフィシャル・インテリジェンス)の略ですね。
つまり、「意思拡張AI」とは、
意思拡張人工知能
ということになります。
といっても、ここでのAIは本当の意味での「人工知能」ではありません。
というのは、「人工知能」の絶対条件が・・・
自分で考え、判断し、行動する(つまりは自我)
を持っていることだからです。
意思拡張人工知能は具体的に?
「意思拡張人工知能」は技術者が事前に決定したシナリオパターンをプラグラムとして入力し、そのシナリオ通りに行動します。
つまり、ある程度の予測されたパターン通りにしか動けません。
ダリルバルデの動きが、
正解(とっさのシールド防御など通常のパイロットでは無理)
不正解(攻撃してくる対象に速やかに迎撃する ⇒ おとりにあっさりと引っかかる)
とプログラムの内容にかなり左右されました。
対戦相手が過去のデータにない異能のレベルである、スレッタとエアリアルだったのが主な原因です。
しかし、通常の相手であれば、グエルは寝ていても勝てたでしょう。
それぐらいに「意思拡張AI」というのは本来優秀なのです。
ただ、劇中での失敗は、グエルの操縦の余地を与えなかったことです。
「意思拡張AI」を最大限に発揮する為には、
技術者が高度な戦術パターンをプログラムとして入力しておきオートで反応
操縦者が臨機応変にどのように反応するかという条件を決める
という連携が大事なのです。
意思拡張AIと人工知能との違いは?
「人工知能」は前述した通り、
自我を有した電子頭脳
ですね。
有名なのは、SF作家アイザック・アシモフ氏がSF小説の中で、ロボットが従うべきものとして「ロボット三原則」を明記していました。
- 第1条「人間への安全性」:ロボットは人間に危害を与えてはならない。 また、その危険を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない。
- 第2条「命令への服従」:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。
- 第3条「自己防衛」:ロボットは前掲第1条及び第2条に反する恐れがない限り、自己を守らなければならない。
この「ロボット三原則」は、ロボットが人工知能を有している、つまり「自我」がある場合の条項です。
ちなみにガンダムではありませんが、人工知能(自我)があるロボットで有名なのは「鉄腕アトム」ですよね。
元祖ロボットとも言える、マンガの神様・手塚治虫様の代表作の一つです。
しかし、日本の歴史において、「人工知能」ロボットよりも、「鉄腕28号」、「マジンガーZ」、そしてガンダムなどのサンライズロボットを代表するように、
ロボットは自我が無く、操縦者がすべて決める
というのが主流です。
視聴率的な話もあるのですが、やはり、「人工知能」への恐怖心が我々の中にあり、それ故に「自我」があるロボットへの抵抗感があったのではないでしょうか?
ちなみに、エアリアルは「自我」を有していますが、非常におとなしいですし、勝手に動いたりしません。
なので、今の状態であれば、あくまで従来のモビルスーツに「自我」がある程度として扱われるので、人気の面では大丈夫ででしょう。
今後エアリアルの自我に勝てる可能性は?
エアリアルの「自我」、人工知能と言ってもいいレベルは非常に高いです。
パイロットであるスレッタの操縦を優先し(出しゃばらない)、必要な時にだけ上手くサポートをしています。
なので、第5世代の意思拡張AI(ましてやβ版では)では、話になりません。
しかし、そこはガンダムワールド、必ず、エアリアルを越えるものが開発されてくるはずです。
方法としては、
エアリアルを解析しデータを入手
エアリアルの行動パターンを対戦や撮影から収集しプログラムの強化
本末転倒だがパイロットに負担をかけるディバイスを使う(結局のところGUNDか)
バイオコンピューター(ZガンダムやZZガンダム、F91に搭載されていた人の意思を集めて力に変える反則技)
などが考えられますね。
それに比べるとエアリアルの優位性はそこまで高くないので、遅かれ早かれ、追いつかれるでしょう。
そして、エアリアルの自我は新型モビルスーツへと乗り換えるのでした・・・。
第1話から最新話までの総まとめはこちら。