「ダウンタウンって吉本興業のゴリ押しで有名になっただけでしょ?」そんな言葉をSNSやネット掲示板で目にしたことがある人もいるかもしれません。でも、それって本当に正しいのでしょうか?
この記事では、「ダウンタウン=ゴリ押しでブレイクした芸人」という誤解に対して、事実に基づいた視点からその真相をお伝えします。彼らがどうやって芸人としての地位を築いたのか、若い世代にもわかりやすくお話ししていきます。
ゴリ押しって何?その前提から考えよう
まず、「ゴリ押し」という言葉の意味を確認しましょう。
芸能界でよく使われる「ゴリ押し」とは、事務所がまだ人気や実力が追いついていないタレントを、無理やりテレビ番組などにねじ込んで売り出そうとすることを指します。
つまり、
「実力より先に露出ありき」
の状態です。
この視点から見て、
ダウンタウンは本当に“ゴリ押し芸人”だったのでしょうか?
ダウンタウンの登場と、当時の空気
ダウンタウン(浜田雅功さん・松本人志さん)は1980年代にコンビを結成し、関西を拠点に活動を始めました。ブレイクのきっかけとなったのが、1987年に始まった関西ローカルの夕方番組
です。
当時のテレビ業界では、まだ東京の大御所芸人やお笑い番組が中心でした。そんな中、関西でいきなり“異質な笑い”を届けたダウンタウンは、若者の間で圧倒的な人気を集めるようになります。
この時点で、すでに彼らは
“ゴリ押し”ではなく“視聴者の支持”
によって評価されていたんです。
「ダウンタウンのごっつええ感じ」で見せた実力
関西で人気を集めたダウンタウンは、1991年に『ダウンタウンのごっつええ感じ』で全国ネットへ。ここで彼らの独特なコントスタイルや、従来のバラエティとは違う空気感が広く知られるようになります。
視聴率も好調で、名作コントも多数誕生。実際にこの番組から影響を受けた芸人や脚本家も多く、「ダウンタウンのスタイル=新しいお笑いの形」として定着していきました。
これが、単なる“事務所の力”だけで成立するものとは思えないはずです。
実際のところ、吉本は最初から推していたわけではない
意外かもしれませんが、実は吉本興業がダウンタウンを最初から大きくプッシュしていたわけではないんです。
むしろ当初は、今のようなスタイルに対して社内でも評価が分かれていたとも言われています。ベテラン芸人とは異なるテンポ感やツッコミスタイル、毒のあるボケ。それがどこまで受け入れられるか、当時の吉本でも手探りだったのです。
天才漫才師・横山やすし「チンピラの立ち話や!」
藤本義一「何が面白いかわからない」
と酷評でした。
つまり、
「吉本の強力な後押しによって作られた人気」
ではなく、
「新しい笑いを模索しながら、視聴者と一緒にスタイルを確立していった結果」
なのです。
若者に受けた理由──“等身大”の笑い
ダウンタウンの笑いが受けた理由は、他にもあります。
彼らはそれまでの「おじさん芸人」にはなかった、“同じ目線”でしゃべる感覚がありました。
浜田さんの鋭いツッコミ、松本さんの独特なボケ──それはどこか、クラスにいる面白い友達のようでもあり、若者たちは自然と彼らに惹かれていったのです。
ここにも“共感”や“リアリティ”があり、それがテレビの中からしっかり伝わっていた。だからこそ、長く第一線で活躍し続けているんですね。
まとめ:「ゴリ押し」ではなく「時代の空気を変えた」
確かに、吉本興業という大きな事務所に所属していたことが、彼らの活動を後押しした部分はあるでしょう。でも、それはあくまで「活動の場を与える」ための土台にすぎません。
本当にダウンタウンを今の地位に押し上げたのは、彼ら自身の圧倒的なセンス、努力、そして何よりも視聴者の支持です。
だからこそ、今でも若手芸人の多くが「ダウンタウンの影響で芸人を目指した」と語っています。